東京から南へ約200キロ離れた御蔵島は、伊豆諸島の一つとして三宅島の南に位置しています。
「神様が宝物をしまった」言われるこの島には、その名の由来どおり手つかずの大自然が今でも残っています。
島の周囲は波風によって大きく削られ断崖絶壁となり、お椀を伏せたような急勾配の形状をしています。
その形状により島の上部には雲ができやすく、その雲が島の上部に雨を降らせる為、島としては珍しく水資源に恵まれています。
それにより島のあちこちには、滝が多く見られます。
豊富な水資源は豊かな森を育み、島の大半は原生林に覆われると共に、スダジイの巨樹が多数点在しています。
その豊かさは屋久島にも匹敵すると言われるほど、素晴らしい自然が今もなお残っているのです。
その森には、固有種であるミクラミヤマクワガタが生息。
また、同じく固有種のサクユリやニオイエビネランなど、希少な植物も見られます。
また御蔵島は、国の天然記念物にも指定されている海鳥「オオミズナギドリ」の世界最大の営巣地でもあります。
この鳥は御蔵島の森に穴を掘って卵を産んで子育てをし、冬になると南へ渡っていきます。
さらに島の周囲には、100頭以上もの野生のミナミハンドウイルカが定住。
これだけの数のイルカの定住が観察されている場所は、国内、海外問わず非常に珍しいのです。
これだけの条件がそろった島は他に類を見ず、世界でも貴重な場所だと言えるでしょう。
御蔵島の周りの海況は厳しく、冬場などは強い西風が吹き続き、1週間以上大型客船が就航できないこともしばしばあります。この厳しい自然が、一方で豊かな自然を守ってきたのでしょう。
人口約300人、島の人々は昔から、この厳しくも豊かな自然と共に暮らしているのです。
森も鳥もイルカも人も、神様の宝物たちなのかもしれません。
この奇跡のような島が「東京都」にあることを知る人は、まだまだ少ないのです。
私達は、この素晴らしい自然が未来に受け継がれていくことを願っています。