日本には、野生のイルカと出会える場所が各地にあります。
多くの場所では回遊性のイルカ達が通過途中で確認されることが多いのですが、日本の何箇所かではイルカが定住しています。
定住が確認されている主な場所は、熊本県天草、石川県能登半島、小笠原諸島、そしてイルカ×プラネタリウムの撮影地である御蔵島、それから同じ伊豆諸島にある利島(としま)です。
その中でも100頭以上の定住が確認されている場所は他に例がなく、海外でもごく稀。
御蔵島はとても貴重な場所だと言えるでしょう。
御蔵島にて移住しているイルカは、「ミナミハンドウイルカ」という種類。
体長は2~3m、沿岸に生息しているイルカです。
ミナミハンドウイルカは若いときには体にマダラ模様がなく、年をとるにつれマダラが増えていくのが特徴です。
イルカは通常、メスと若い子供の群れ、それと若いオスの群れに分かれており、子育てはメスの役割です。
一見親子のように見えるイルカでも、お母さんらしきイルカは別の若いメス、ということがあります。
実際に、一見親子に見えるイルカが実はそうでなく、他のメス達がベビーシッターをして子育てを手伝っていたという例が数多く報告されています。
御蔵島では、この野生イルカ達と一緒に泳ぐことができます。
いわゆる「ドルフィンスイム」です。
この時スイマーはスキューバダイビングのタンクを使わず、スノーケルセットを着けて、素潜りに近い状態で潜ります。
イルカは、好奇心が旺盛です。
彼らは野生のイルカですが、こちらに興味を持ち始めると、ぶつかりそうなくらい目の前までやってきたり、人やカメラをを覗き込んだり、キューキュー鳴いて周りをグルグル回ったりします。
しかし、このイルカ達は飼いならされた動物ではありません。
大海原を自由に生きる、野生のイルカなのです。
なので時には、こちらに見向きもせずあっという間に泳ぎ去ってしまうこともあります。
だからこそ、一緒に過ごしてくれた時の感動がまた一段と大きいのかもしれません。
大自然を生きるイルカには、体に傷がついている事が多くあります。
イルカ同士で遊んだりしてつく薄い傷もあれば、深海のサメ・ダルマザメにかじられてつく深い傷もあります。(深海のサメが夜に上がってくるのか、イルカ達が深海に行っているのかはまだよく分かっていません)
御蔵島では、イルカと人とが良い関係を続けていくために、イルカと泳ぐ時には「イルカに触らない」「餌を与えない」「イルカの行動を妨げない」「カメラのフラッシュは使用しない」などのルールが定められています。
野生イルカ達の生活の邪魔をしないよう人間が配慮し、自然と共存していこうという姿が、この島にはあります。
大海原を泳ぐイルカたち。
この海はイルカたちの棲み家です。だから私たち人間はいつも、イルカたちの棲む海に「お邪魔します」という気持ちを心に留めて、泳いでいきたいと思っています。
イルカ×プラネタリウムの映像には、このような野生イルカの姿が収められています。
彼らはすべて、自然界に生きる野生のイルカ達なのです。